エアコンの除湿と冷房、同じ温度に設定した場合、どちらの方が電気代を節約できるのでしょうか?
答えは、エアコンの除湿方式が「弱冷房除湿」なのか「再熱除湿」なのかによって異なります。
もし、お家のエアコンが「再熱除湿」であるなら、電気代は冷房の20%増し!!になってしまうことも・・・。
節約できると思ってあえて「除湿」を使ってたのに、逆効果だったなんてこともあるわけです。
今回は「同じ温度設定なら、冷房と除湿どちらがお得?」 「うちのエアコンは弱冷房除湿?再熱除湿?」 「効果的な除湿機能の使い方」についてお伝えしていきます。
もくじ
エアコンの除湿VS冷房、同じ温度なら電気代はどちらがお得?
一般的に同じ設定温度にした場合、電気代がかかるのは
弱冷房除湿≦冷房<再熱除湿
という順番になります。
弱冷房除湿と冷房はどちらが安い?
まず、弱冷房除湿と冷房の電気代の差についてですが、メーカーによって説明が異なります。
総合するとほぼ同じか、若干、弱冷房除湿の方が安いということになります。
それよりも、電気代に明確な差があるのは「再熱除湿」です。
これは、弱冷房除湿や冷房よりも電気代がかかります!!
なんとなーく使ってしまっている場合は要注意です。
エアコンの冷房・弱冷房除湿・再熱除湿のちがい
冷房
温度を下げることを優先した機能。設定温度で電気代が大きく異なる。(冷房使用時は1℃下げると電気代が10%上がるとも言われている。)
弱冷房除湿
湿度を下げることを優先した機能。湿度を下げるためには、空気を冷やす必要があるため、結果的に温度も下がる。
温度を下げずに湿度だけ下げることは難しい。
再熱除湿
温度を下げずに湿度を下げる機能。弱冷房除湿の場合、湿度といっしょに温度も下がってしまいましたが、こちらの機能では温度をキープします。
電気代が冷房・弱冷房除湿と比べて高く、2割り増し!?という話も・・・。
途中までは弱冷房除湿と同じで、空気を冷やすことで湿度を下げます。
ここからが大きな分かれ道で、再熱除湿は冷えた空気を暖め直して温度を上げてから外に送り出します。
つまり、設定温度を下回らないように、わざわざ暖房機能をつかっているというわけですね。
当然、それだけ電気代がかかります。
日立とパナソニックの公式サイトで、冷房と除湿の電気代について次のように記載されていました。
日立:再熱除湿の方が、冷房や弱冷房除湿よりも電気代が若干かかる。
湿度が下がると体感温度も下がるため、高めの設定温度にすることで、結果的に冷房との電気代の差は小さくなる。
パナソニック:再熱除湿の方が、冷房や弱冷房除湿よりも電気代が約1.2倍になる。
【参考】
日立「冷房と除湿では電気代が安いのはどちらですか?」
うちのエアコンはどっち?弱冷房除湿と再熱除湿
弱冷房除湿か再熱除湿かで、電気代に大きな差がある。となると気になるのが「うちのエアコンはどっちのタイプなの?」ということですよね。
色々調べてみたのですが、エアコンの機種によって本当に様々でした。弱冷房除湿か再熱除湿かを正確に見極めるためには、エアコンの型番を確認した上で、各メーカーに直接問い合わせることをおすすめします。
以下に除湿方式の見極め方について、わかっている範囲でまとめましたので参考程度にお読みください。
※青字の【問い合わせ】をクリックすると、各メーカーのお問い合わせページにとびます。
エアコンの除湿 Q&A
エアコンの除湿機能に温度設定があるのはなぜ?
温度設定がないと冷え過ぎてしまうから。
湿度と温度と両方の設定ができるエアコン。除湿するのに、温度設定があるって不思議ですよね。
なかには「除湿なのに温度設定しかない」というエアコンも。
「え?え?どういうこと?」
「設定するのは湿度だけでいいんだけど・・・。」
その理由は、先ほどの湿度を下げる仕組みと関係しています。湿度を下げるためには温度も下げる必要があるため、湿度と温度は連動しています。
もし湿度のみの設定が可能で、それが最優先された場合、エアコンは常にフル稼働&とっても寒い・・・という結末になりかねません。
そんなことは誰も望んでいませんよね。涼しくカラッと快適に過ごしたくてエアコンを使っているわけです。
ということで、適温適湿を保つために除湿機能にも温度設定がついています。
温度設定ができないタイプのエアコンは、多くの場合、あらかじめ自動設定がされています。
弱冷房除湿はどんなときに使うの?
ジメジメを解消したいとき。
「弱冷房除湿でも温度が下がるなら、冷房も除湿も同じじゃないの?」と思いますが、そうではありません。
冷房と除湿の一番の違いは「どちらを優先するのか?」ということ。
冷房は温度を下げることを優先した機能で、除湿は湿度を下げることを優先した機能。
ジメジメを解消したい!という目的なのであれば、除湿機能を使う方が効率的です。
中には例外もあります。例えば、富士通ゼネラルのエアコン。
公式ページで確認したところ、同じ設定温度で比較した場合、除湿量は再熱除湿や弱冷房除湿よりも、冷房の方が高くなっています。
富士通ゼネラル・よくあるご質問「再熱除湿とはどのような除湿方法ですか?」
こうなってくると、除湿というカテゴリがよくわからなくなってきますね・・・。
再熱除湿はどんなときに使うの?
ジメジメを解消したいけど、冷えすぎが気になるとき。
温度を保ちながら、除湿する再熱除湿。
ジメジメは解消したいけど、からだの冷えが気になる!という場合には便利ですよね。
冷えは万病の元とも言いますし、健康のために気をつけたいところです。
そのほか、夏以外の季節で除湿したい場合、室内で洗濯物を乾かす目的で使いたい場合にもおすすめ。
日立のルームエアコン、白くまくんXシリーズでは「カラット除湿」という再熱除湿があり、用途によっていくつかに分類されています。
カラット除湿の機能(日立 白くまくんXシリーズ)
ランドリー除湿:5キロの洗濯物を2時間弱で乾燥させる
カビ見張り除湿:カビが発生しやすい環境になることを察知して除湿運転を作動させる
けつろ抑制除湿:冬場にありがたい、結露の発生を予防する
温度をキープしながら除湿するので、季節を問わずに使えるところがいいですね。
洗濯物の部屋干しにも使える?
YES!使えます。
先ほどは日立のエアコンの「ランドリー除湿」をご紹介しましたが、通常の除湿機能も部屋干し時に活用できます。
部屋干しってなかなか乾かなくて困る上に、臭いが気になりますよね。
臭いの原因は雑菌で、その雑菌は衣類が湿っている状態の時に繁殖するので、なるべく早く乾かす!ということが臭い対策のカギです。
洗濯物の臭いが気になるときはこちら↓
使用後は送風モードで内部を乾燥させるなどの工夫をしましょう。
除湿しても効果がないのはどうして?
設定温度と室温の差が少ないから。(弱冷房除湿の場合)
風量が弱い設定だから。
湿度と温度は連動しているので、除湿で湿度だけを下げることには限界があります。
弱冷房除湿で除湿の効果を感じられない場合、設定温度と元々の室温との差が少ないのかもしれません。
また、除湿は弱めの風量しか出ない設定になっているという場合もあり、効果に物足りなさを感じることも。
温度設定ができる場合は温度を下げる、もしくは冷房に切り替える(冷房の方が除湿力が高いエアコンもあるため)などの方法をお試しください。
扇風機やサーキュレーターを併用すると室内の空気が効率よく循環し、効果的に除湿することができます。
効果的な除湿機能の使い方
除湿機能があまり効いていないように感じる場合は、先のQ&Aでふれたとおり、
①設定温度を下げる
②冷房に切り替える
の方法をお試しください。
「同じ設定温度のままで、除湿機能のままでより効果的に使いたい!」という場合は、こちら↓
洗濯物を室内干しするときにエアコンの除湿機能を使っているのであれば、除湿機の購入を検討してみてもいいかもしれません。
まとめ
一口に除湿と言っても、弱冷房除湿なのか、再熱除湿なのかによって電気代が大きく変わります。
電気代は、弱冷房除湿≦冷房<再熱除湿 です!
ちなみに私の実家のエアコンは、再熱除湿方式だったことが発覚。
「暑さはそれほどでもないから除湿で我慢。」と言って除湿で過ごした日々は、なんだったのでしょうか・・・。
除湿や冷房、エアコンの持っている機能を上手に使い分けて、賢く快適に過ごしたいですね!
参考
日立・お客様サポート「よくあるご質問」、三菱電機「よくあるご質問FAQ」、ダイキン「よくあるご質問(FAQ)」、パナソニック「よくあるご質問」、富士通ゼネラル「よくあるご質問」
日立・日立の家電品 商品説明、パナソニック・個人向け商品 衣類乾燥除湿機